へそから指4本分下。そこにある小さな場所が、実は人生を変える大きな力を秘めている。
下丹田。
それは東洋医学で「腎気」が宿る場所とされ、生命エネルギーの源とも呼ばれる。
現代を生きる私たちは、頭で考えることばかりに意識を向けがちだけど、本当の力は実はもっと下にある。
朝、目覚めたとき。
仕事で疲れを感じたとき。
人間関係で悩んだとき。
イライラしたとき。
そんなときこそ、そっと手を下腹部に当てて、手のぬくもりで温めてみる。お腹でぬくもり、温かさを感じてみる。
すると不思議なことに、散らばっていた気持ちが一つの場所に集まってくる。
バラバラだったカラダの感覚が、ひとつの中心軸を持ち始める。これが「ハラが据わる」ということなのだろう。
下丹田を意識して生きることは、人生の重心を見つけることに似ている。
外側の出来事に振り回されるのではなく、内なる安定感から行動を起こせるようになる。「ハラをくくる」ともいう。
70歳を過ぎてもインドに行きたいと言える母は、きっと下丹田にエネルギーが満ちているのだと思う。
年齢を重ねることで失われがちな「やりたい」という気持ちを、カラダの奥深くから湧き上がらせることができる。
腎気が充実していると、恐れよりも好奇心が勝る。不安よりも冒険心が強くなる。それは若さではなく、生命力の問題なのかも。
現代社会では、頭脳労働が中心となり、多くの人が頭でっかちになっている。
しかし本来の力は、もっと下にある。下丹田をととのえることで、カラダ全体のバランスが整い、精神的な安定もえられる。
人生を豊かにするのは、外側からえるものではない。
自分の内側にある、この小さな中心点から始まる。
下丹田を意識することで、わたしたちは本来の力を取り戻すことができる。
今日から始めてみよう。
一日に数回、下丹田に意識を向けて手で温める。
そのぬくもりを感じながら、歩くときも、座るときも、そこに重心を置く。
そうすることで、きっと人生はもっと安定し、もっと豊かになるのかも。
年齢は重ねるもの。
でも生命力は育むもの。
幸せな人が増えますように。